卵子や精子にかかわる細胞の老化は、自然な加齢によって進行しますが、酸化ストレスも原因と考えられています。一つひとつの細胞では、 ミトコンドリアという器官が細胞内エネルギーを生産し、細胞の機能に対し重大な役割を果たしています。 このミトコンドリアが活性酸素による酸化ストレスにさらされると、卵子や精子の劣化や質の低下がおこります。
　老化のスピードを少しでも遅らせるためには、毎日の食生活や運動、ストレス軽減などの生活習慣の改善が大切です。そのうえで、 葉酸、マルチビタミン・ミネラルに加え、酸化ストレスを抑える抗酸化作用が期待できるL－カルニチンやレスベラトロール、コエンザイムQ１０ などのサプリメントの摂取を、またサプリメント以外に、鍼灸やレーザー治療など、血流の改善や細胞の活性化をうながす治療をおすすめしています。 当院では「酸化ストレス度と抗酸化力テスト」を行っていますので、治療前後の効果の指標として参考にされるとわかりやすいかもしれませんね。

　不妊治療が求められる背景には、女性の社会進出が進み、晩婚により出産を希望される方の年齢が高くなっていることにあります。 高年齢女性の妊娠は合併症のリスクが高くなるため、妊娠適齢期での妊娠・出産が望ましいとされています。ただ女性が仕事や勉強 と子育ての両立できる会社にするには、１０代の頃から妊娠適齢期を意識した教育、保育園や学童施設の充実など、さらにきめ細かな 環境づくりが必要だと思います。
　また、若いうちから自分の体のことを知るためにも、検診をかねて婦人科の受診をぜひおすすめします。 婦人科の診察に抵抗がある方に問診や血液検査を代用することもありますよ。 たとえば生理不順のある若い女性なら排卵に影響のあるホルモンや卵巣機能に異常を認めたり、また生理痛で受診される方の中に不妊症の原因になる子宮内膜症の予備軍 であることも。AMH（抗ミュラー管ホルモン、保険適用外）という血液検査では、卵巣の予備能もチェックできます。これらの検査結果 により、必要な薬や治療などにつなげることができます。
　まずは自分の状態を知り、将来にむけた心と体の準備をすることはとても大切です。どんなお悩みでも気軽にお話しに来てくださいね。 早いうちにケアできれば、将来の不妊症を予防することにもつながります。