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不妊・妊婦の豆知識

[Vol.140]
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免疫力で立ち向かう
ウイルスや病原菌に打ち勝つためには、自分がもっている免疫力をしっかり働かせることが大切。しかし、最前線で戦う自然免疫のNK細胞は繊細で、さまざまな要因で力をなくしてしまいます。
免疫力を下げる原因を知り、できるだけNK細胞が本来の力を発揮できる生活をしましょう。

原因1 加齢

免疫細胞のなかで、獲得免疫のT細胞とB細胞は年をとっても働き続けますが、自然免疫のNK細胞は年齢とともに働きが低下していきます。
60歳頃から感染症やがんにかかりやすくなるのはこのため。ピークは20歳の頃で、徐々に活性度が下がり、40代で半減、70代で10分の1に。
40代以降はNK活性を上げる生活が大切です。

原因2 不規則な生活

免疫機能は自律神経の影響を強く受けています。
自律神経には日中、活動している時に働く交感神経と、リラックスしている時に働く副交感神経があります。
不規則な生活が続くとこの二つバランスが崩れ、NK細胞の働きも低下します。
就寝・起床時間はなるべく一定に保ち、夜更かし、徹夜などはできるだけしないようにしましょう。


原因3 ストレス

不妊症の原因と精子の基準値

ストレスは免疫力の天敵です。
精神的なストレスがかかると、自律神経の交感神経が優位になります。
すると、免疫細胞であるリンパ球の数が減り、免疫力が下がります。
またストレスで分泌されるホルモンが、NK細胞の働きをゼロにしてしまうことがわかっています。
ストレスはためないように、こまめに発散しましょう。


原因4 激しい運動

運動で体を酷使すると、NK活性が下がってしまいます。
激しい運動をするとNK活性は一時的に上がるものの、運動終了後には運動前より下がってしまうという実験結果が出ています。
プロスポーツ選手が感染症にかかりやすいのもこのため。免疫力を下げないためには、頑張り過ぎず、ほどほどに運動するのが一番です。


原因5 腸内環境の悪化

腸は絶えず外界からの病原体などの危険と接するため、それらに対抗するための抗体を生成しています。
腸内環境が悪化するとこの機能がうまく働かず、免疫力が下がってしまいます。
乳酸菌や発酵食品を積極的に摂って、善玉菌優位の状態に保ちましょう。
また腸の働きをコントロールしている自律神経のバランスを乱さないことも大事。


免疫力低下のサイン

こんな症状があったら注意!
当てはまるものがあったら免疫力が低下しているかもしれません。
サインを見逃さず、免疫力を高める生活を心がけましょう。
■風邪をひきやすい
■口内炎ができやすい
 肌荒れがひどい、傷が治りにくい、便秘や下痢をしやすい、体が冷えている
■ よく眠れない
■笑う気分になれない

免疫力を高めるために大切なポイント

“取締役会”と例えられる「免疫、神経、ホルモン」が協働するための環境を整えることが、免疫力を高めるための重要なポイント。
自然免疫のNK細胞が活性化して、ウイルスや病原体から体を防御する力が上がります。

POINT ① 善玉菌優位に腸内環境を整える

腸は口にしたものの大部分が運ばれていく場所で、消化管のなかでもっとも面積が広いところです。
腸の内側は常に異物侵入の危険にさらされているため、体内の約7割の免疫細胞が存在し、常に異物を監視しています。
腸内にはビフィズス菌を代表とする善玉菌、悪玉菌、そしてどちらにも傾く日和見菌が住んでいます。
その割合が2:1:7を維持できると、免疫細胞が活性化します。
腸内環境を善玉菌優位に保つために、積極的に取り入れたいのが、プロバイオティクス食品。
体にいい働きをする生きた微生物を含んだ食品のことです。
ヨーグルトや乳酸菌飲料だけでなく、納豆やみそ、漬物など、日本の伝統的な発酵食品もその一つです。


POINT ② 自律神経のバランスを保つ

自律神経には、日中活動している時や緊張・興奮状態にある時に働く「交感神経」と、睡眠や休息などリラックスしている時に働く「副交感神経」があります。
ふだん、私たちは無意識に2つのバランスを取っていますが、このバランスが崩れると、免疫力に影響が出てきます。
不規則な生活やストレスで交感神経が優位になると、免疫細胞であるB細胞、T細胞、NK細胞の数も減ってしまいます。
逆に副交感神経が優位になれば免疫力がアップするかというとそうでもなく、アレルギー症状を起こしやすくなります。
昼間は活動的に過ごし、夜はゆっくり休むことで、自律神経のバランスを保つことができ、免疫力を維持できます。


POINT ③ 体を冷やさないようにする

生活環境の変化から、昔と比べると平熱が35℃台の低体温の人や、冷え性で悩む人が増えています。
免疫力を高めるには、体を冷やさないこと。体温が36.5℃以上だと最前線でウイルスと戦うNK細胞は活発に働き、36℃を下回ると活性が弱まってしまいます。
低体温にならないためには、体の熱の30~40%を作っている筋肉量を減らさないこと。ウォーキングなどの適度な運動で、筋肉をキープしましょう。
また、これからの寒い季節は、防寒対策をしっかりするのはもちろん、半身浴でじっくり体の芯を温めたり、温かい食品や体を温める効果のある生姜やとうがらし、コショウなどのスパイスを使った料理を食べるのもおすすめです。


[参考文献]
ジネコ(Jineko.net 2020 winter)

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